2017/02/01.Wed. 0:00

海や湖、世界の水中を舞台に第六感を研ぎ澄ませて命の輝きを表現 Vol.2

水中表現家二木 あい さん

1980年石川県生まれ。水中表現家という唯一無二の存在として世界を舞台に活動。すべての表現をフリーダイビング(素潜り)で行い、水中世界と人間世界の架け橋となるべく、水中世界を表現。水中映像家、水中モデル、水中プレゼンター等、これまでにない形で水中表現に挑み続けている。2011年ギネス記録「洞窟で一番長い距離を一息で行く」フィンあり100m世界女性初、フィンなし90m世界初記録を達成。NHK『プレシャスブルー』プレゼンター、TBS系『情熱大陸』など多数メディアに登場しているほか、講演、素潜りツアーなどもこなす。
http://aifutaki.com/

Vol.2

気付くことからすべては始まる
二木あい

@Tim Rock

サメと向き合っている写真など、圧倒的なインパクトです。

クジラなど大きな動物と映っている画像を見て、「怖くないんですか?」と、よく聞かれます。

犬や猫でも怖がっている人には近づきませんし、嫌がっている人には威嚇をしますよね。水中動物も同じで相手を尊重すれば、相手もちゃんとこちらを尊重してくれます。

人間は影響や攻撃を受けやすい無垢で純粋な心を隠すため、いくつもの壁や門を持っていると思います。その壁や門は、エゴ(利己心)や、頭でっかちな考えがそうではないでしょうか。動物にはそうした自分を守るレイアーはなく、オープンでありストレートであります。

海の中で動物と向き合い彼らの中に入っていく為には、彼らと同じようにこちらもオープンでいる必要があります。そうしなければ、彼らは違和感を感じ、交わることができません。

例えば、このサメと顔を合わせている作品。水中は色んな生物が暮らしている場所であり、サメも(種類にもよりますが)何でもかんでもガブリと食べるわけではありません。周りにウヨウヨ泳いでいるサメの中で私は、そこに住む住人の一人として、その場にいるのは当たり前、という雰囲気をかもし出します。

水中は陸上より振動が4倍早く伝わる場所。興奮・緊張・恐怖など自分自身が気づく前に相手に伝わってしまうので、気を落ち着かせリラックスし、日常生活の一部であるように居ることが大切です。
そうすることで、信じられないような素晴らしい驚きの瞬間に出会います。素潜りをしている時は、ウトウトと眠りに落ちる直前のような状態。それは何を考える訳でもなく、呼吸は深くゆっくりと繰り返され、忙しく働いている脳がちょっとお休みする状態。そうなって初めて五感は鋭くなると思います。
二木あい

五感については、どのように捉えていますか?

匂いを香らないと!音を聴かないと!など「感じよう」とすると五感は鈍り、そこで感じるものは、無意識に頭で考えて作り出してしまった感覚とは真逆のものになってしまうように思います。

水中は考えてから行動では遅い世界。だからこそ感覚を研ぎ澄ますことが重要で、そのためには考えを脇に置いておく必要があります。脇に置いておくのは、突っぱねるというよりも、BGMのように考えはそこにある。だけど、そこには集中しない、ということです。
事実、脳の体内酸素消費量は大きく、身体全体で使う20%を占めます。酸素を浪費しないためにも、水中で息を止めている時には余計なことは考えません。

すると、第六感を含めて五感のすべてが鋭くなり、例えば、起こり得る危険を察知することができます。実際に危険が迫る前に、その場から離れることができますし、動物がやってくればチャンスを逃さず撮影することも可能になります。

私たち人間は急速に発展していますが、いちばん大切な五感や感覚をどんどん失っているように、水中にいると強く感じます。

目の前で動物の親子に接したり、動物と一緒に泳いだりしていると、メール、電話、SNSなど私たち人間にはいろいろなコミュニケーションツールがありますが、道具に頼りすぎて、本当にコミュニケーションできているのだろうかと、考えさせられます。
kansei projects

素潜りのツアーもなさるようですね?

活動の一環として、素潜りを教えることもしています。リトリートという「日常生活から離れて、自分を見つめ直す」スタイルです。

素潜りがリトリートにぴったりなのは、ものの10秒で「出来ない」という思い込みの壁、「死ぬかもしれない」という恐怖の壁と向き合えるからです。一人で潜るとここで止めてしまいますが、インストラクターとして私が一緒に潜っていますので、安心してその壁を壊すことができます。

なによりも大事なのは、自分しかその壁を壊すことができない、ということ。他力本願ではムリなんです。何事もやってみなければ何も解りませんし、何も変わりません。

顔を水につけることが怖い人もいれば、水深1mで怖いと感じる人、10mまで問題なく素潜りできる人もいる、どこに壁があるかは人それぞれです。自分自身が限界と感じるところへ行ったときに、そこからどうするのか、壁を越えようと試みるのか…という体験をしてもらうのが、私の素潜りレッスン、リトリートです。

変わるとは、自分の心が変わること。他人に言われて変われるものではなく、自分自身の気づきがあって初めて変わる。自身の抱える問題も、気づくことで解決します。素潜りでは、それが顕著に表れ、今日、明日という短い期間で変わるのです。

素潜りを通して、これまで「出来ない」と諦めていたことは実は、自分が勝手に作り上げていた思い込みだった、、、と気づいていただけると、日常生活や仕事で「あ、ダメかも」という状況になったとしても、「でも、あの素潜りの時、死ぬかも!?と思ったけど、実は大丈夫だったから、今回も大丈夫かも!」とプラス思考になり、解決に導かれます。

素潜りを体験することで、陸上に戻ったとき、集中などマインドセットもしやすくなりますよ。

11月に開催する、小学生や学生向けのイベントにも講師としてご参加いただきます。

日本の教育は、子ども一人一人の可能性を伸ばすというよりも、皆と同じでいること、いい大学に入ることが大事だと教えているように感じます。他と違っていても「自分は自分でいい」ということを知ってもらいたいし、それを誇りに思ってもらいたいですね。

やりたい!という気持ちさえあれば、実は何でもできてしまう。
どうしてもやりたい!という強い思いがあれば、何を言われようと突き進むべきだと思います。
一方で、デジタル化が進み、今はなんでも簡単にワンクリックでできてしまう為、努力をしてなんとか自分の力で頑張る、ということが置いてきぼりになっているように思います。人生とはそんな甘いものではないですし、突き進むためには、強い意志、努力、根気が必要であること。それが人生だということも理解してほしいと思っています。

頭で色々考えたところで、心がそうだ!とならないと何も変わらないと思います。私は、自分の活動を通して、皆さんにたくさん感じていただきたい。気づきの種として、皆さんの心に種植えができれば本当に嬉しいことです。そこから、皆さん一人一人のストーリーが生まれ、いつか大輪の花が咲くことを糧にこれからも頑張って行きたいです。
二木あい

編集後記

Ai Futaki”のWEBサイトに舞う優美な姿から想像するよりも、ずっと小柄なことに驚くと、「フィンを付けていますからね」と現実的な答えが返ってきました。フリーダイビングで水中世界を描く、エネルギッシュでしなやかな美しいパフォーマーの姿と、トークショーや講演をこなし、作品制作を企画するクリエーターの姿、自身に限界を設定することなく、自然体で力強く輝いている女性です。トリリンガルであり、現地の人々をスタッフとすることも多いというグローバルな存在でもあります。「同じ表現をするのなら、楽しく、美しく」という言葉どおりのインパクトを持つ、唯一無二の作品に魅了されずにはいられません。言葉を必要としない世界を圧倒的な美しさで表現する二木さんのメッセージは、水中を伝播する“気”のような響きを持っていました。

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