2017/01/01.Sun. 6:06

海や湖、世界の水中を舞台に第六感を研ぎ澄ませて命の輝きを表現 Vol.1

Vol.1

目には見えなくても大切なもの

水中表現家とは二木さんの命名ですか?

水中表現家とは、読んで字のごとく「水の中を表現する」者です。
映像や写真の撮影者、水中モデル、パフォーマー、ドキュメンタリーやテレビなどのプレゼンター、講演のスピーカー、素潜りを教えるインストラクターなどいろいろな方法で水の中を表現しています。

© photograph by Darren Jew

水中表現家と名乗るに至った経緯は?

もともとはドキュメンタリーなどの映像作家として水中での映像を撮影していました。
しかし、それだけでは表現しきれないと感じたのですが、他に誰もいなかったので自分自身が映像の中に入って表現しよう!と。

ただ、そうは言ってもその当時はタイトルも肩書きもない無名のフリーダイバー(素潜り者)だったので、ここで何をやったところで自分の自己満足で終わってしまう、、、と思い、世界初のギネスに挑戦しました。
子どもの頃から競泳をやっていたので、水中を泳ぐということに関しては全く違和感も問題もありませんでした。この記録挑戦は、自分が行いたい表現の一環として、そして「世界初」という肩書きを得るために自費で行いました。

ギネスに認定されたことで、TEDxTokyoのスピーカーとしてスピーチし、それがきっかけでテレビ番組『情熱大陸』に出演し、日本のメディアで取り上げられるようになっていきました。

映像作品は、WEBに掲載しているように自分自身の作品として制作しているものと、『情熱大陸』やNHKへの出演、CM制作などメディアの仕事の2種類があります。メディアにご依頼いただくものも、水中表現については私自身がゼロベースから企画提案することが多いです。

水中表現家として伝えたいこととは?

伝えたいことは、目には見えないけれど私たちは自然と繋がっており、地球の一部、自然の一部であるということ。
生まれる前、私たちはお母さんの大きな海の中にいましたよね。水中世界とは、私たちがやって来た原点だと思うんです。だから、その世界を表現することで忘れてしまった私たちの始まりを思い出し、さらには言葉が必要ない世界だからこそ心に届く「何か」を感じていただきたいと思っています。

水中は言葉が通じない世界であり、騙すことはできない世界。自然環境、動物とストレートに向き合わないといけない場所です。
自分の肺のみが頼りの素潜りを使って水中表現をしているのは、彼らと同じように潜ることで動物と自然体で向き合えるからです。最初は、タンクを背負って潜るスキューバダイビングで撮影していたのですが、息を吸う時に大きな音がし、息を吐く時はブクブクと空気の放出音と共に泡も出てしまうので、動物は逃げていってしまいます。水中では呼吸が出来るので長く潜れ観察はできますが、いつも何だか疎外感があり何だかそれでは、違うな…と違和感を感じていました。

水中の哺乳動物と同じく、息を止めて水中に潜ると、彼らは私を自分たちとは違うけれど、水中に住む新たな生き物なんだと認識します。そうして彼らが落ち着きリラックスする事で、とても自然な姿の動物と一緒の写真だったり映像だったりが撮影できています。

自然世界、水中世界の一員となった写真や映像。動物が興味深そうにこちらにやってくる作品、動物だけではなく人間である自分自身が被写体として画の中に入ることで、より水の中の世界が身近になり、親近感がわき、感情移入もしやすいのではないか、と思います。
頭で考え「こうしよう」「ああしよう」としても、心が「そうだ!」と思わなければ何も変わりません。感動こそが、変わるきっかけになると信じています。何かが変わる時とは、感動した時です。私の活動、私の水中表現がそうした何かが変わるきっかけ、種になれれば、、、と思っています。