© photograph by Darren Jew

ギネスに挑戦した映像など、水の中で凝縮した時間を過ごされていますね。

ギネスの映像は、6台のカメラを使用し、色んなアングルのカットがありますが、1台はスタートからゴールまで私を追っかけて撮影していて、ノーカットです。映像が約2分、実際に素潜りしていた時間のままです。水の中での時間の感覚は短くもあり長くもあります。電車などでうたた寝した時のように、一瞬だった様な、ず〜っと長い時間だった様な、、、不思議な感じですね。

水中では陸上の4倍速く振動が伝わります。そのため、左から発せられる音も左右同時に音が届くので、音がどちらの方向から響いてくるのかわからず、全方位から一度に押し寄せてくるような感覚がします。

何も対象物がない青い水の中では、バーティゴと呼ばれる上下の感覚がなくなる瞬間もあります。陸上での空間の定義が水中では当てはまらないので、水中での表現は無重力の宇宙を表現していることに近いのかも知れませんね。

一人で居たとしても、陸上は人の視線があり人々の中の自分を意識してしまいがちです。水中では、マスク(水中めがね)を付けているので視野が狭くなるのもありますが、自分対自然というシンプル、直球な状況になります。
“気”も波動ですから、陸上にいるよりも早く伝わりますね。

日本にいる時には、ヨガをなさっているとのことですが、潜るためですか?

潜るために限らず、自分自身のコンディションを整えるためです。
身体も整えていないとサビが溜まっていってしまうので、普段から整えることは大切だと考えています。

頭と心と体、3つのバランスを健全に保つことで、やりたいことができる状態になる。私の場合は表現が可能になり、最高のパフォーマンスができる状態になります。

ヨガやキックボクシング、サーフィンなど、いろいろなことをやってみて、全く別ものと思われるスポーツでも根本は、実は同じものを内在していると毎回感じています。
私は何か興味があると、とりあえずやってみないと気が済まない質なので、呼吸法を習いにインドへ1か月行ったこともありました。

ヨガの呼吸法の先生は87歳と高齢でしたが、お元気で常にニコニコ笑顔でした。
呼吸は生まれてから死ぬまで、途切れなく行っている唯一のことです。本当はとても大事なことですが、常に当たり前に行っているので、その大切さ、繊細さ、重要性など、なかなか気が付きません。ヨガでは「プラーナを通している」と言い、見えないからこそ大切でありパワフルなものでもあるので、きちんと行う必要があると教えられました。

当たり前ですが、水中の生物は私たちの言葉を話すことはできません。彼らとコミュニケーションをとるために大事なのは何なのかを突き詰めていくと、目には見えない“気”に行きつきます。

ヨガ、そしてインドでの呼吸法を通じて、目には見えないからこそ大切なコトを明確に理解できたことが一番の収穫でした。

vol.2に続く…