2016/03/11.Fri. 6:06

心を解き放つことのできる空間にコミュニケーションをデザインする

東京スカイツリーを見上げる複合商業施設・東京スカイツリータウン®の一角に位置するすみだ水族館は、2012年、100%人工海水で運営する都市型の水族館としてオープンしました。館内には水槽が見える位置に多くの椅子が配置され、ドリンクを片手にゆったりと寛いで過ごすことができます。居心地のよい空間づくりを追求することで、水族館に新しい価値が生まれています。
開業準備室長としてコンセプト設計・デザインに関わり、現在は館長としてご活躍の山内將生さんに話をうかがいました。

すみだ水族館とはどのような場所ですか?

日本全国には100を超える水族館がありますが、ここはその中でも、とても敷地の狭い水族館として2012年にオープンしました。

都内にもいくつか水族館がある中で、複合ビルの中にある小さな水族館という条件だけは決まっていました。展示も必然的に少ないわけです。どのような個性を打ち出すか、水族館としての新たな価値が問われていました。

試行錯誤の末、コミュニケーションをテーマに、空間そのものに体感的な要素を持たせた展示づくりや、生き物を身近に感じながら水槽の前でリラックスして過ごせる場所づくりで、繰り返し訪れたくなる施設となるようデザインしています。

水槽の中にいるような居心地のよさがありますね。

水族館には、自然や生き物に対する、私たち人間の理解が深まるような伝え方、展示のあり方が必要だと考えました。

ひとつ目が体験的な要素です。生き物に触れてみるといった体験ではなく、もっとこの生き物のことを知りたいという思いを喚起する仕掛けをデザインすること。生き物の形を紙で作ってみるなど、子どもが遊びながら、生き物との距離がグンと近づくようなワークショップも開業以来ずっと続けています。

また、空間そのものを体感的につくっています。リラックスした状態で水槽をゆっくりと眺めることができるように、館内にはたくさんの椅子を置いています。水槽の目の前に椅子を置いてあるので、心行くまで水槽の中に入り込んで生き物に見入ることができます。館内には順路の表示も生き物の解説版もありません。自由に歩き回って、自分で発見したことが知識となる、そんなコミュニケーションを企図したものです。

すみだ水族館は、多くの企業等に協力いただいて運営しています。リラックスできる空間は、香り=アロマや、光=照明、椅子、音楽など、それぞれのプロフェッショナルの提案が一体になって出来上がっています。いずれも空間を心地よくするための仕込みで、意識されない、自然なあり方で、視線は水槽に吸い寄せられるようにと。

たとえば照明は、トーンを落とした館内に、水槽だけがぼんやりと明るく光って見えるようにしています。照明やアロマは、実は季節や時間帯によっても変化もしているんですよ。