オットセイやペンギンが館内に出てくることもあるんですね!(取材中に)

あります。何時からと時間を決めず、オットセイやペンギンの体調に合わせて飼育員が連れ出します。時間を決めるとショーになってしまうでしょう。ここは生き物たちの棲み家で、人間はあくまでお客様、生き物たちが我が物顔で館内を歩くことは当たり前という考えから、ショーにはしていません。

水族館において飼育スタッフは裏方として存在するケースが多いですが、ここでは生き物たちとともにお客様の目の前で仕事をしています。
誰よりも生き物の生態に詳しく、お客様の身近にいて、質問されれば答えるだけでなく、飼育スタッフから話しかけることも仕掛けています。「ちょっとチャット」と名付けたプログラムでは、お客様が聞いて「へえ」と思えるようなちょっとした情報を短い時間でさらりとお伝えします。ライブ感のあるコミュニケーションのあり方がすみだ水族館のトーンを創っています。

クラゲゾーンの一角に「アクアラボ」というガラス張りの研究室のような場所を設置しています。クラゲを実際に飼育する様子を目の前で見ながら飼育スタッフと直接話せるようにしているのも、コミュニケーションをデザインする取り組みのひとつです。

五感についてはどのように考えていらっしゃいますか?

かつては、五感をひとつひとつに分けて考えていましたが、今は、いろいろな要素が組み合わさって感じられる肌感、空気感として捉えています。
水族館には、さまざまなお客様が来場されます。
感じ方も人それぞれ、自由にしていただく、そこから次の可能性が開けていくように思っています。

「従来とは異なる展示空間を実現した」として、2015年度グッドデザイン賞も受賞。

編集後記

「過去に誰も経験していないことを提供する」と、未来を見つめる視線が印象的でした。従来の施設のように飼育員をはじめとするスタッフとお客様を分離せず、スタッフ全員が館の雰囲気づくりの一翼を担う職場は、アルバイトスタッフまでモチベーションが高いと言います。生き物や水そのものに親しむことのできる場づくりと、そこで育まれる豊かな人間性こそが顧客満足にも、水族館の使命を果たすことにもなるとして、温もりあるコミュニケーションと寛ぎが得られるように空間をデザイン。人の思い、意見に耳を傾け、各自の持てる力を最大限に引き出す人間力は、新しいリーダー像でもありました。

すみだ水族館

東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F
営業時間:9:00~21:00(年中無休) ※入場受付は閉館の1時間前まで。季節による時間変更、施設メンテナンスのための休館あり
http://www.sumida-aquarium.com