2017/12/29.Fri. 22:22

幸せを彩る世界に唯一のウエディング装飾から 日々のインドアグリーンまで植物と共に生きる Vol.1

フローリスト宮永 英之 さん

1971年、東京生まれ。1989年、株式会社ゴトウ花店(現:ゴトウフローリスト)入社。2002年、ゴトウフローリストの公認デザイナーに就任。2003年、帝国ホテルの店長に就任。2011年、ゴトウフローリストを退社し、海外にてウエディング装飾のプロデュースを開始。海外の雑誌『i Fruel』にて1年間、作品を連載。2013年、日本帰国、ANIMUS FLORAL DESIGN設立。
http://www.animus-floral-design.com/

Vol.1(前編)

幸せなコミュニケーションを生み出すフローリストの仕事

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まずは、フローリストの仕事について教えてください。なぜ、フローリストをめざしたのですか?

実は小学校の卒業文集で、将来就きたい仕事に「お花屋さん」と書いているんです。庭いじりや植物が大好きだった祖母の影響ですね。
高校時代に家の片づけをしていたら、すでに亡くなっていた祖母が集めていたらしい花の洋書が出てきました。美しい本で、フラワーデザインという仕事があることを初めて知りました。

モノづくりは好きだったので、品種、形、香りと数多ある花を使って、自分の手で作品を創るのは面白いだろうと思ったのです。

それでゴトウフローリストに就職を?

高校を卒業するとすぐにゴトウ花店、現在のゴトウフローリストに就職しました。
六本木に拠点を置くゴトウフローリストは、120年以上の歴史がある、日本で初めて洋花を取り扱った花屋です。当時はフランス人やオランダ人、ドイツ人のフローリストを店の看板としていました。

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昔気質の職人の世界ですから、入社すると、まずは店の掃除や片付けを覚えることから仕事が始まります。そして4年目に、先輩にすすめられるまま100人のフローリストによるデザインコンテストに応募して優勝しました。以来、コンテストには満足したので参加していません(笑)。

フラワーデザインの基礎はヨーロッパのクラシカルスタイルにあります。
コンテストに応募する日本人のレベルより、店の看板だった欧米人フローリストの実力の方が、当時ははるかに高かった。外国人フローリストの技術を我がものにすること、追いつくことが目標でした。

フローリストとしての転機になった出来事を聞かせてください。

大きな装飾や空間デザインを経験できたことですね。

フラワーデザインの基礎は小さいアレンジから始まります。
六本木店での修行を経て、ヒルトンホテルでのウエディングや帝国ホテルのイベントを手掛けるようになり、空間をどう生かすかを考えるようになりました。

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レセプションパーティーの空間装飾(都内ホテル)
宮永さん:蘭の女王と言われる白いカトレアと、ガラスシリンダーでデザインした空間装飾。ライトアップすることで、カトレアが浮かび上がるような演出をしています。

特に帝国ホテルでは、当時、企業の100周年記念や、社長就任式典など大きい規模での会場装飾が多く、竹1000本を使ったり、徹夜で枯山水の庭園を出現させたり、先輩デザイナーを手伝うことで得難い経験をしました。

ゴトウフローリストの公認デザイナーとは?

2002年、28歳で、社長に認められ、公認デザイナーになりました。スタッフが約100人いる中でデザイナーは5人、欧米人デザイナーに肩を並べる立場です。チームの一員として、大きな空間デザインのプレゼンテーションに参加できたのは大変勉強になりました。

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フローリストには、クライアントが想像する以上のものを創り出す能力、フラワーデザインの歴史と海外を含めたトレンドの知識、デッサンを含めたプレゼンテーション能力が必要です。打合せでクライアントの希望を聞き、提案をして受け入れられなければ成立はしません。

セルリアンタワー東急ホテルが開業する際には、館内に設置する新店舗の立ち上げを店長として任されました。初期投資の内容から予算管理まで、マネージメント能力を培う経験になりました。

その後、帝国ホテルに店長として戻り、10年近くの日々を過ごしました。ここでも大いに鍛えられました。
お客様には、大物芸能人や政財界の方々もいます。ドレスショップやカメラスタジオなど館内のウエディング関係の店舗は、店長といえば40~50代のベテランの方ばかり。言葉遣いから礼儀や身だしなみまで、周りを見て独学。若かったので、わからないことは「教えてください」と言えたのは救いでした。

そして、独立したのですね。

40歳で独立と決めていました。
ゴトウフローリストで一番になるという目標を達成し、社長の右腕として働けたので、円満退社して次のステップへ。フラワーデザイン発祥の地、ヨーロッパを1か月ほど見て回り、1年半、海外でウエディングプロデュースの仕事をしました。

2013年に帰国して、世田谷にフラワーデザイン事務所を設立。その後、今の築地へ移転しました。引き続き、ウエディングなどの空間デザイン、デモンストレーション、ブーケやアレンジなどを手がけています。

店舗営業はせず、電話やメールで花束ひとつからオーダーを受けています。口コミで「友人からもらった花束がステキだったので」と、注文くださる人がいるのはうれしいことです。
同じものは一度も作ったことがありません。デザインとしてではなく、同じ花を使っても、花には一つひとつ表情がありますし、組み合わせも無限にありますから。

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お誕生日の花束
宮永さん:大人の女性へプレゼントした花束。女性の一番好きな花が「カラー」。臙脂色のカラーをメインに、全体的にシックな色合いでまとめたスタイリッシュな花束。

花の力とは?

例えば、結婚式で花嫁が持つブーケ。
最近では、造花のブーケを使っているケースも結構ありますが、やはり生花にまさるものはないと思います。
生花には、不安や緊張を和らげるパワーがあります。個人的にブーケには香りのある花をおすすめするようにしています。香りは記憶に残り、消えません。
結婚記念日には、夫から妻へブーケに使った花を贈ると、結婚式の日の幸せの記憶がよみがえるので、おすすめです。

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グリーンブーケ
宮永さん:緑の好きな新婦が持ったウエディングブーケ。旬のグリーンや実だけで束ねたナチュラルなブーケ。

花には旬がありますから、空間デザインにしてもブーケにしても、その日に最高のパフォーマンスを発揮する旬の花を中心に提案します。
クチナシのブーケを作ったことがあるのですが、ご主人がクチナシの香りに「結婚記念日が近いことを思い出した」と、連絡をいただいたこともあります。

植物は人間の情緒に働きかけます。旬を愛でることは贅沢であり、豊かさをもたらしてくれるものだと思っています。

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