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最後に料理と五感についてお聞かせください。

五感を使って料理をしていると、第六感の扉が開くことを知っています。香りをかぎ(嗅覚)、味のラインを測り(味覚)、調理の音を聞き(聴覚)、焼き色を確かめ(視覚)、食材に触って(触覚)水分量を把握しています。料理は水分との闘いでもあります。生の状態で70%の水分を含んでいる肉を、火を使って50%、30%、20%と適度な状態に仕上げます。サッと触ることで水分の状態を把握できます。さらに、気を集中し、時間を使いこなしています。

五感を研ぎ澄ませて食材と向き合う奥田流の調理法には、固定のスペシャリテはありません。現地の食材に合う新しいレシピを創ることが可能で、レシピはどんどん降りてきます。

全国各地で行っているプロデュースは、独自の哲学ややり方を私の弟子である現地の料理人に伝えて、時々、電話を入れたり、現地にその後の様子を見にいってメンテナンスを繰り返しています。山形で修業した弟子たちがふるさとに帰っていくので、全国に種が撒かれている状況です。そこで芽を出し、ふくらみ、花をつけ、実になって、徐々に発酵して熟成し、日本列島があちらこちらで元気になっていくのも楽しみです。

編集後記

取材時の最新刊『地方再生のレシピ』(奥田政行著/共同通信社)は、amazon.com書籍のグルメ部門で1位を獲得、次いで地域開発部門で1位獲得、さらに地方行政等の部門で上位を更新中とのことでした。本誌の帯には「この本を持ってお寿司屋さんへ行こう!」とあり、まさに、3部門のいずれに関心がある人にとっても面白い内容で構成されています。自らの五感を駆使して、独自の哲学を築き上げ行動、その発想や体験を著書にして伝えるスーパーマンは、21世紀の日本と人が元気になる“種”をお持ちでした。
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DATA

奥田政行の庄内イタリアン「アル・ケッチァーノ」
庄内カフェ&ドルチェ「イル・ケッチァーノ」
みんなで創る山形イタリアン「ヤマガタ・サンダンデロ」ほか
http://www.alchecciano.com/