【セミナー情報:「バイオフィリック”サウンド”デザイン」聴覚の専門家が講演】

2019年7月22日、 JVCKENWOODが主催する『ソリューションフェア 2019』にて、
KPCの聴覚の専門家である榎本が「バイオフィリックサウンドデザイン」をテーマにセミナーを行いました。

人間は生涯の時間の90%を建築物の中で過ごすと言われており、この「ストレス社会」と呼ばれる時代において、
空間デザインの考え方の中に「人の健康」を配慮することの重要性が浮き彫りになってきました。

「働き方改革」や「生産性向上」というトピックでは、わかりやすくシステム面の向上によって作業効率の向上が補われる部分がありますが、
私たちが取り組む「感性デザイン」で触れるのは、その空間で過ごす人を想い、寄り添うという空間デザインの領域。
特に「人が心身共に健康的に過ごせるオフィス空間」を考える取り組みは、
近年では海外を中心に積極的に導入されるようになってきましたが、その中でもよく聞くようになった「バイオフィリックデザイン」という言葉。

これは、人間が生まれながらにして抱いている「自然と繋がっていたい」という欲求 “バイオフィリア” の概念を空間設計の中に落とし込み、
人間の活動を効果的にサポートする “人に寄り添う” 空間のデザインを指しています。
現在、海外でイノベーションを起こしている大手企業では当たり前のように取り入れられており、
「生産性向上」や「幸福度の向上」、「病欠・離職率の低下」など、その効果も実証されています。

そんなバイオフィリックデザインの中においてサウンドが果たす役割、
空間の音響を考え、人に寄り添うものを実装することでできる価値について、聴覚の専門家から話が行われました。

社会の進歩と共に都会から失われていった『自然環境の中にしかない豊かな周波数』。
私たちが心理的な安心感を感じるもの、本当の自分らしく素でいられる空間の要素は、DNAの根源を辿り戻った先、自然豊かな環境の中にヒントがありました。

鳥のさえずりや水のせせらぎ。
木々の揺らぎや風の音。
波の打ち付ける音に空から降り注ぐ雨音。
豊かな大地に共存する、さまざまな命の音。

目には見えずとも、私たちは常に五感の刺激に対して感覚を開き、そこから情報を得て生きてきました。

肌が感じる音。
目に見えない気配。
人間の都合で殺してしまった、耳には聞こえずとも体感していた豊かな周波数。

これを都市空間に改めて持ち込み、リアルに再現することで生まれる価値とはなんなのか。
その効果や可能性を、様々な検証の結果と共にご紹介しました。