【Study Meeting】関口智恵さんによる「色」と「光」のお話

人間、時間、空間、3つの間から体験をデザインするKANSEI Projects Committee(KPC)では、参加メンバーによるスタディミーティングを定期的に開催しています。2016年8月19日のスタディミーティングにお招きしたのは、色彩プロデューサーの関口智恵さん。空間の重要な要素である「色」と「光」についてお話いただきました。

色と光の専門家・関口智恵さん

関口さんは、広告代理店勤務を経て、かねてから学んでいた色彩学や心理学などを活かし、癒し・色をテーマにした株式会社キュア・カラーを設立。個人を対象としたカラーヒーリングを行うだけにとどまらず、前職での経験を活かして企業のブランディングなどに関わるほか、色彩プロデューサー・監修としてテレビ番組制作に参加するなど、幅広く活躍なさっています。

また、一般社団法人日本カラーヒーリング協会理事長、ILA(世界の光と色の協会日本支部)代表として、色彩心理の専門家の養成や、社会・教育・医療現場へのカラーヒーリング(色彩心理)の定着、光と色についての情報発信などに取り組んでいます。

カラーヒーリング(カラーセラピー)でできることとは?

「カラーヒーリング、カラーセラピー」という言葉は知っていても、具体的に何ができるかを知っている方は少ないのではないでしょうか。関口さんによると、「カラーヒーリングとは、色を用いて、心や身体のバランスを整える療法です。色のチカラで、心身ともに健康に彩りのある生活をご提案したり、カウンセリングすることです」。

たとえば悩みがある場合、本能と理性の葛藤が悩みの主な原因だったりします。言葉は左脳がつかさどっているので、とても理性的です。しかしそのかたが選ぶ色は、ご自身でも気がつかない、本音があらわれているんです。

また苦手な色は、ご自身の未解決な感情やトラウマと関係が深いです。
色彩心理の観点から、日常生活での色のつかいかたをアドバイスさせていただいています。」

カラーヒーリングは特に海外では代替医療の一つとして広く根付いており、関口さんも「カラーヒーリングによる予防医学」を以前から追求しています。

光と色の有益性をもっと日本に伝えたい

世界で研究されている光と色の情報を発信し、各業界に実践的に広めるためのプラットホームであるILA(光と色の世界の学会)の日本支部の代表としても活動している関口さん。多くの研究者が光と色の生理的・心理的影響をエビデンスとして発表しているものの、それが実際に日本の社会や医療現場、教育現場などで用いられることがほとんどないのが実情です。ILA(光と色の世界の学会)日本支部では、世界の人たちが研究した色と光の有益性が日本で広く浸透できるプラットホームを育てていきたいと考えているそうです。

関口さんは、2016年3月にウィーンで開催されたILA(光と色の世界の学会) で「色のエネルギーで女性性開花」プログラムについて、発表されました。来年もアメリカ・パリなどで、海外に住む日本人向けにワークショップを展開されるそうです。

同じ色でも見え方や感じ方は人によって違う

次に関口さんは、ご自身が開発したとても珍しい光線機器を使いながら、色と光のセッションについて説明してくださいました。「同じ色、同じ強さの光を、同じ環境で見たとします。ある人にとっては美しく見えて、ある人にとっては見えにくく、ある人にとっては不快に感じます。その謎を知りたくて研究することになったのが、光のカラーセラピーなんです」

一般的に、「赤が元気になる」「青が落ち着く」などの生理的効果が知られていますが、実は同じ色でも、個人や価値観によって感じ方が異なります。そのときに美しいと見える色は、そのときの自分の状態(波長)に合う色なのです。例えば、同じ経験をしていても、その人の中にある記憶の色が異なるように・・・。

20光(色)に煌く機械を使って関口さんが開催しているのが、「光のカラーセラピー」です。光(色)を見ながら、自分の脳波(シータ波・アルファ波・ベータ波・ガンマ波)がどのように変化していくのか、集中する色やリラックスする色は何かなどを測定します。5感を使って空間の体験をデザインしているKANSEI Projects Committee(KPC)にとって、視覚的な部分で色と光が空間にいる人間にどのように影響しているのかを考えるきっかけになり、今後の取り組みのヒントになりました。

空間に合わせて色と光の配色をデザイン

関口さんは、企業のマーケティングやブランディング提案のほか、今後は更にコンサート・映画なども色彩プロデューサー・監修として活動されるそうです。空間における色と光をコンサルティングする際は、その空間の目的や集う人々に合わせて、ふさわしい色と光の配色をアドバイスします。

その中にいる人間に重きをおいて「空間」をデザインするというKANSEI Projects Committee(KPC)のコンセプトにも相通ずるものがあり、私たちが提案する空間に新しい要素が加わる予感が生まれたスタディミーティングでした。

関口さんブログURL
http://sekiguchitomoe.com/